英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2017年5月5日金曜日

椎間板ヘルニア闘病記①:経緯・病状・診断と初期治療

 こんにちはー。Yskです。お久しぶりですねー。1年ぶりに書いています。 
現在Yskは椎間板ヘルニアを患っており、入院しています。研究者がこの時期に入院して研究をストップしなければならないのは痛恨の極み。笑しかし、これを期にそろそろ自分の体を労ろうと思います。ボロが出てきましたので。笑

 で、入院していると、本当に暇な時間がたっぷりです。飽きます。かったるいです。笑 ホントにリハビリ意外やることと言えば、患者さん同士の交流(おしゃべり)、看護師さんとの交流(おしゃべり)、リハビリ、くらい。笑 ええ、つまるところ、リハビリ以外やることないんです。笑 なので、暇潰しに、そして、今後だれかのためになるかもと思い、闘病記を書いてみることにしました。まずは第一弾です。少々硬めに書きましたが、特に腰に問題をお抱えの方は読んでくれれば嬉しく思います。ではスタートー♪

 一番始めに腰を痛めたのは中学の時だった。20年近く前のことである。体育の授業でバレーボールをして痛めた。運動が大好きだったYskはいつものように元気いっぱいで上手くできもしないスパイクをたたき込んだ。(勿論結果としても上手く出来るわけがない。)続いて着地した瞬間に動けなくなった。これが最初に腰を痛めた怪我である。その後で整形外科に出向き、レントゲンを撮った。異常なし。しかし痛い。そこで大学病院に出向いて、当時ではまだそれほど多く用いられることがなく、先端技術の一つであったMRIを撮った。これでも大きな以上は認められないとの事だった。筋肉の損傷か。当時は痛み止めを飲んだりすることなく、お決まりのようにシップを貼ったりマッサージを施したりして治療?し、コルセットを着けて生活を送った。結果3ヶ月程で痛みが随分と無くなり、部活にも復帰できるようになった。それで腰の痛みは忘れたようだ。それ以降、特に気にすることも無かった。時々、張ったなあ、とか鈍痛かなあっと言った感じ。運動などで酷使すれば当然感じる痛み程度であった。少なくともそう言う解釈をして20年やって来た。

 20年近く経った現在から半年ほど前、研究室の引っ越しが行われ、重機を運んだ際に再び鋭い痛みに襲われた。動けない程では無かったが、腰に力が入らず安静にしていた。一週間経っても痛みに変化が無いようだったので、近くの大きな病院に少し無理を言って診察してもらった。(偶然にも脊椎腰椎領域では有名病院であった。)あれから20年が経った近年では、MRIは当然とも言えるくらい一般化された機器となっており、久しぶりに撮った。結果、子どもが見てもおかしいと思えるくらいの突起物を椎間板付近に発見した。担当医の先生に診断をいただくまでもなく、腰椎椎間板ヘルニアであることは明らかだった。

 そこで保存療法をまずは選択した。痛み止めを定期的に飲み続けてヘルニアが自然に元に戻るのを期待するのだ。患者の中には自然と戻る幸運な人が少なからずいるらしい。「ヘルニアは切らずに治す」と豪語?するネット情報が出るのもそう言う理由だと解釈している。それを一応は期待したわけだが、痛み止めの薬としてはリリカとトラマールを処方された。副作用として、めまい等があるので出た場合はすぐに相談をとの事だった。3ヶ月か4ヶ月ほどそららの薬を試したが、結果的に何も変わらなかった。リリカの副作用よりも圧倒的にYskを悩ませたのがトラマールによる便秘である。先生には説明を受けていなかったが、どうもお通じの調子が悪いと思って調べた結果、トラマールの副作用であることがわかった。それもあり、4ヶ月で投薬は終了して他の方法を検討することにした。

 他の方法と言っても、提示された選択肢は2つであった。手術か痛みと上手く付き合うか。この時に、なぜブロック注射を提示されなかったのか、これは今から思えば疑問であった。ヘルニアMRI画像を見ての上で、効果無しとの判断だろうか。とにかく理由は不明である。熟慮という程もなく、Yskは手術を選択し、後日先生に伝え、手術が決定した。しかし、やりますと言ってすぐに出来るものではないらしく、手術が出来る位置にヘルニアがあるかどうか確かめるため、骨の状態も調べる必要があるとのことで、CTを撮った。結果、第六腰椎が変形して飛び出しており(Yskの腰椎は一つ多いらしい)、そこにヘルニアが覆い被さるように出ていることが判明した。なお、手術自体は可能であるとのことだった。

一口に椎間板ヘルニアの除去手術と言っても術法は色々あるようだ。代表的なのが最も古典的なLOVE。また、内視鏡(MED)や顕微鏡(MDマイクロLOVE)を使った手術。これはLOVE法の改良版と言える。最先端の手術法はPEDPELDとも)。他にも体を切らない手法でレーザー(PLDD)を使った術法もある。それぞれについて、多少なりとも簡単に説明しておきたい。(詳しくはGoogle先生に任せることとする。)

 LOVE法は最も古典的な方法であり、直接肉眼でヘルニアを目視して切除する最も確実と言われる方法である。つまり失敗が少ない。しかし、5cm程度と比較的大きく切開せねばならず、背骨に巻き付いている背筋をいったん剥がして傷つける領域も大きくなる。また、ヘルニアを除去するために腰椎を一部削る。そのため、確実ではあるものの、術後の痛みは大きい。

 MED法やMD法はYskの解釈ではあるが、進化形LOVE法で基本的に除去術の方法は同じである。ただし、古典的LOVE法よりも切開する幅が格段に小さいため、術後の痛みは旧来法よりも小さい傾向にあるという。Yskは古典的LOVE法を何とか避けたかったので、MED法をお願いし、実際その通りにやってもらった。
なお、整形外科医はMED法を、神経外科医はMD法を選択することが多いようだ。違いは顕微鏡を用いるか内視鏡を用いるかだけだと解釈しているが、間違いでないと思っている。

 PED法(PELD法)は最も最先端な技術で内視鏡や顕微鏡以上に傷口が小さくなる。それゆえ更に回復も早く痛みも少ない。ただし、日本全国でこの手術が行える医師はとても少なく、手術を希望しても1年待ちとかのようである。また、病院によっては保険が使えない場合もあるかもしれないとの事だった。すなわち、今現在これは現実的でない。調べる限りでもYskの住む県内ましてや地方を探しても、本法を行える医師はいなかった。ただし、Yskの担当医の先生もその存在と有効性についてはきちんと理解していた。今後これが主流になっていくと思われる。


 PLDD法のメリットは何と言っても体を切らずに済むことだろう。効果はいかばかりなのか、調べる限りでは正直サンプル数が少なくて判断できない。保険も適用外である。どうしても切りたくない人には試して見る価値のある術法かとは思う。

 これからの技術の進歩によって更なる簡易化、低侵襲化が期待できる。

と、ここまで勉強をした上でMED法をお願いした。ただし、MED法をやる準備をして切開した結果、骨の変形や神経の状態によっては通常のLOVE法に切り替える可能性もあるため、それをあらかじめ了承して欲しいと言われたので、頷く一手であった。ここまで来たら任せるしかない。
そんなこんなで、入院の日までを通常通り過ごした。

 以下は手術決断までの考察である。
 手術をするにあたり最も大切な事は、とにかく神経を傷つけないことである。それ故、今でも確実性を優先させて古典的LOVE法を選択する人も少なからずいる様だ。手術を避ける人もいる。実際、Yskが入院した病院でもザックリと切開している人が何人もいた。あれほど大きく切っても悶絶級の苦しみは無かったように見えたので、鎮痛剤など術後の痛みに対するケアが充実していることの証左であろう。なお、ヘルニアが出てからの期間が長い人は術後でも痛みが取り切れない人が多いと先生は言う。これはヘルニアの圧迫によって神経が傷ついてしまうからだと考えられるらしい。ヘルニア自体が除去できても傷ついた神経が回復するのには相当な時間と労力がかかるらしい。これが歳をとってからでは尚更であろう。様々な情報が流れてくる現代であるが、科学的に考えて見ればこの説明は当然で、本来そこに有るはずのない異物が常時グイグイと神経を圧迫しているのだから、いくら神経が膜で覆われているとは言え、多少なりとも余計な力が一点に加わり続けていることになるのだろう。水ですら石を削る。この説明は科学的に合理的である。つまり、「切らずに直したい」という患者の誰もが持つ望みと、早い段階でやってしまった方が術後回復の最大値が上がる、という考えを天秤にかける必要があるのだ。

 更に言うと、ここに東洋医学の針や鍼灸、整体やマッサージなどの東洋医学の考え方が入って来るともっと混乱を招きやすい。現状、患者本人が何を「信じる」かが、最終的な患者の治療方針を決めているとも言えよう。整形外科と整体院と針鍼灸とマッサージ全部通うって人もお年寄りには多いことだろう。それで一番良くなると感じる方法を選ぶ。これは間違いではない。体は正直そのものだ。(ただし、治癒と痛みの緩和が別物であることもしっかりと認識しておくべきである。)しかし、「なぜ」を初めから知っていれば、無駄な時間とお金を浪費することはない。東洋医学系に関する最大の不安要因は、痛みの原因に対する治療範囲がピンポイントでないことである。「え?そこ?」という事は日常茶飯事だ。しかし、「あ、いいかも」ともなる。マジックの様であるが、実際にそう言う人がいるのだから東洋医学専門医も自信を持つわけだ。ちなみにYskの場合は、効果を感じなかった。そこで「効果が出るまで一ヶ月程度、人によっては3ヶ月かかる人もいます。」との説明がよくあるのだが、ここがまた悩ませ所。そして時には「切らなくても治ります。」と断言もされる。あくまで個人的な意見であるが、これらの「結果に結びつく過程」に合理的な説明が求められていると思う。なぜなら、自然治癒との判別がつきにくいからだ。お金をかける必要があったのか、と後々小さな後悔を引きずる可能性が無いとは言えないだろう。

 今回椎間板ヘルニアを患ってから手術の決断をするまでのYskの思考回路をまとめると次の通りである。(他の原因不明の腰痛には適用すべきでない。)
 まずはやはり科学的・物理的な見解を知りに整形外科に行く。問題が明白であればそれが原因と判断する。痛み出して日が浅い場合は、保存療法を一定期間は期待する。それを飛ばしたい人、つまり切っても良いと思う人はあえて保存をする必要性は必ずしも無い。手術を選択する場合は、早い方が予後の回復が良い傾向にあると統計的に言えるからである。そして手術を行っても痛みが取れない場合などは、リハビリや東洋医学的施術が候補となる。
 一方、できるだけ切りたくない人は、もっと厄介な判断を下すこととなる。切りたくない人は、切らないで放置することによる神経損傷の進行に注意せねばならない。最終的に手術をするかも知れないのなら、時間と天秤にかける必要が常にある。神経損傷の度合いが増せば増すほど予後は期待できない。そして更に、東洋医学を先行して選ぶ場合、保険は適用外なので金銭的に余裕が必要である。しかし、何と言っても手術という身体を傷つける行為をせずに治せるかも知れない、というメリットはあるだろう。
 こう考えると、やはり科学的・医学的・物理学的思考をYskは優先する。その後に治りが良くなくて東洋医学を頼ることになっても、それに後悔はない。論理が自分にとっては大切なのだと思った。更に後になって東洋医学に頼っても治らない場合もあるだろう。その時に「手術をして体を傷つけてしまったから、思うように治らないんです。」と言われることもあると言う。これは完全に殺し文句であるが、ここまで一生懸命やったのだから「満足」だと思えればそれで良いと、諦めがついた。目の前にある原因から目を背けて逃げて長い迂回路を選ぶより、それに直接的にシンプルに対処する方が納得できる。そう考えて今回、Yskは早い段階での手術を選択したわけだ。

 先にも書いたが、今後更に科学と技術は間違いなく進歩する。近未来ではPED法が主流になるだろう。執刀医師によって異なるようだが、PED法は局所麻酔でやる所もあるようだ。もう少し時間が経てば、椎間板ヘルニアはPED法による局部麻酔手術によって日帰りで出来るようになると確信している。その時、おそらくは椎間板ヘルニアを東洋医学で治そうとする人は、激減することだろう。今後の技術の普及をおおいに期待しつつ、今回の投稿を終えることとする。

(ただし全てのヘルニアにPED法が適用可能とも行かないらしい。以下を参照)
(現実にはPED法とMED法の併用が続くだろう。しかし、技術の進歩と普及発展が期待できることには違いない。)

では。


Ysk

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